TRPGサークル『龍屋』をしております。 CoCやユグドラシル、その他もろもろやっとります。 たまにMTGや文房具についての話題なんかも

# 龍屋

もこ霖 其の壱

妹紅×霖之助 第一弾。

もこたんかわいいよもこたん。

 季節は冬。 幻想郷は銀色に染まっていた。
 自称、幻想郷の中心に存在する古道具屋である香霖堂の中は幻想郷のどの場所よりも暖かかった。
 昨年の冬まではストーブがあったのだが、うっかり冬に入る前に紫から燃料を買い取るのを忘れていたので今年はストーブが使えないのだった。
 夏は頭にチルノをのせていたのを思い出し、霖之助は何かあったかそうな人を店に呼べば良い・・・そう考えた。



 そんな訳で、香霖堂には妹紅がいた。
 実際、狭い店内に妹紅がいると、それだけで店内が暖まった。 さすが自分で不死鳥やら火の鳥というだけのことはある。
 霖之助と妹紅という珍しい組み合わせだったが、性格が似てる、という点もあり二人はすぐに打ち解けた。
 ここ最近、妹紅は毎日のように香霖堂を訪れていた。

「これはなんだ?」
「煙草だよ。 こっちにある水煙草の同類らしい」
「へぇ、形は全然違うんだな」
 
 と、香霖堂に置いてある外の世界のもので興味を持ったのを妹紅が聞いて、それを霖之助が答える・・・それが会話の大体だったが。
 あまり、会話もしないし人見知りの妹紅だったが、なぜか霖之助には心を許していた。



「お前は、何時頃からこの店を構えてるんだ?」
「さぁ? 覚えてないね。 魔理沙が家を出た辺りだから・・・数年前だったと思うよ」

 時間が経つと、妹紅は霖之助のことについて聞くようになっていた。

「お前は私に聞きたいことはないのか?」
「あまり無いね。 それに、君は自分の事を聞かれるは好きではないんだろう?」
「違いない」

 最初のうちはあまり笑うことのない妹紅だったが、いつしか霖之助には笑顔を見せるようになっていた。

「この上にあるのは?」
「脚立に上って見るといい。 足元に置いてあるだろう?」
「これか?」

 無縁塚から拾ってきた『脚立』という高いところのものを取るための足場を妹紅は手に取った。 無縁塚で拾ってきたものだったが、なかなか便利だ。
 脚立の脚を開いた妹紅はそれを地面に置いて上に乗った。

「ああ、固定するための金具をつけなくちゃ危ないよ」
「ん?」

 脚立の足の間の金具がセットされていなかったのを見た霖之助がそれをセットしようと立ち上がり、妹紅の傍まで近寄った。 妹紅は脚立の固定具を見ようと脚立の上で姿勢を変えた。 

「うわぁ!?」

 と、そこでバランスを崩して妹紅は霖之助に顔から飛び込んだ。

「・・・大丈夫かい?」

 霖之助は自らの体に抱きつく形になっている妹紅に声をかけた。

「・・・」

 妹紅からの返事はない。



 男の人独特の香り。 決して筋肉質なわけではないが、僅かに硬い胸板。 妹紅はそこに顔を埋めていた。
 そこで妹紅は思い出していたのだ。 遥か昔に別れた父の事を。
 何人もの妻が居たにも関わらず、輝夜に求婚し、在るわけの無い難題を出され、それでも諦めず偽物を持ってきて、他の者達から批難を浴びた藤原不比等。
 9人兄弟の末っ子として生まれ、しかもアルビノだった妹紅はあまり期待されているわけではなかった。 が、迫害を受けていたという程でもなかったのだが誰からも、何の期待もされていなかった。
 
 故に妹紅はあまり父と話したことが無かった。
 ある夏の満月の夜。 厠に行こうと起きだしてきた妹紅は縁側で静かに満月を見上げ涙を流している父を見た。
 その頃幼かった妹紅は後ろから父に抱きついていた。
 そこで始めて妹紅がいた事に気づいた不比等は何も言わずに妹紅を抱きしめて泣いていた。

 それが妹紅の記憶に残っている数少ない父の記憶。
 
 その時、抱きしめられた感触と同じものを今感じていた。

 霖之助の背に腕を回し、抱きしめた。


「・・・」

 霖之助は突然抱きしめられたことに驚いていたが、妹紅の頬に流れる一筋の涙を見て妹紅の頭と背に腕をまわして抱きしめ返した。
 
「・・っ! ひっく・・・」

 堪えているのか、小さい嗚咽が聞こえてくる。
 霖之助は妹紅の頭を優しく撫でながら囁いた。

「我慢することはないよ。 泣きたいなら泣けばいいさ」

 それでも声を上げたくないのか、霖之助の胸に顔を押し付け、声を堪えている。 だが、次第に我慢できなくなったのか、声が大きくなってくる。 だが、霖之助に顔を押しつけているので、声がくぐもって聞こえる。
 それからしばらく、霖之助は妹紅を抱きしめ、妹紅は何百年ぶりかの涙を流していた。




「情けないところを見せてしまったな」
「別に構わないよ。 また泣きたくなったら何時だって来ればいいさ」

 目の周りが赤く腫れてしまった妹紅はしきりに鼻をすすりながら、香霖堂の出口に立っていた。 店の外はすっかり暗くなっていた。
 
「もう辺りも暗いんだし、今日は泊まっていったらどうだい?」
「いんや、遠慮しとくよ。 並の妖怪なら負けることはないし、どうせ死なないし」

 妹紅の背中から紅い炎が吹き出て、翼となる。

「ああ、そうだ。 店主。 冬は好きか?」
「あまり好きではないな。 かといって夏も好きじゃない」
「私は好きだな」
「君自身暖かいからね」

 先ほど抱きしめた妹紅の体はとても暖かかった。

「ま、それもあるけど。冬は死の季節だ。 植物は枯れて動物は眠りにつく。 生も死もない天涯孤独な私にはちょうどいい」
「少なくとも、今の君は一人じゃないだろう? それに君は暖かい。 それだけでも十分生きている証拠だろう」

 思わぬ霖之助の言葉に妹紅は顔を火照らせる。 照れ隠しかすぐに妹紅は火の翼を大きく広げた。

「また泣きたくなったら何時でも来るといい。 僕は歓迎するよ」

 妹紅は振り返ることなく手だけを霖之助に向かって振った。
 
「まったく、扉位閉めていってほしいな」

 店の扉を閉めようと、立ち上がった霖之助は店の外を見て思わず感嘆してしまう。

「ほぉ・・・」

 銀色の幻想郷。 一面に降り積もった雪。 そこに一筋の『道』ができていた。 妹紅の飛んでいった跡なのだろうが、銀色の中に走る一筋の紅とは綺麗なものだ。

「ま、冬もたまにはいいかもね」


by 頭にチルノ、ゆかりんに道化服の人
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